月刊誌「天穹」
令和六年 九月号
風尚同人秀句
屋内修一選
甘酒の滋味に甘えて眠うなる 立道すみ女
泣き顔のいつか寝顔に合歓の花 田中国太郎
卓袱台も卓に付け足し祭寿司 塚本一夫
立葵友逝く空へ咲きのぼる 野口英二
坂道はウォーターシュート大夕立 福井まさ子
俗界の汗の引きゆく雲巌寺 藤原基子
震災の海傾けて棚田植う 前橋竹之
風鈴や赤子は見えぬ目を向けて 村井郁子
軒忍どこへも行けぬ母へ吊る 渡辺花穂
今に継ぐ生家の匂ひ簟 青木遵子
文机に螺鈿の文箱緑さす 安達幸代
余所行きの顔して長女初浴衣 上田時生
十薬を干してふるさと近うせり 川手和枝
銭湯は町の社交場ラムネ抜く 斉藤雅はる
干