アクアモザイク

月刊誌「天穹」
令和四年六月号より

主宰詠

春風や喜寿の身正す虚子の丘

蟻穴を出で勤勉の歩を運ぶ

源氏山に決起の勢花辛夷

大空にいのち弾くる花辛夷

森の巣箱即日入居可と落書     屋内修一 

前主宰詠

山茱萸黄をさなご走る声あげて​

春らしくなりゆく天地汀子逝く

啓蟄や隠れ家めける地下のバー     佐々木建成

風悠

長持の木目浮きをり花海棠

路地裏の立食ひ蕎麦屋春の雪     山口美智

花吹雪老いには老いのこころざし

うららかや石段数へゐて忘れ     野間しげる

副主宰詠

霊峰へ遠会釈して鳥雲に

残照に浮かぶ北嶺鳥雲に       籠田幸鳴

 

​寒村へ雪を泳ぎて郵便夫

スケボーの少年春の風となる     前田勝洋