アクアモザイク

月刊誌「天穹」
令和四年九月号より

主宰詠

山門の下は涼風建長寺

写経の間夏鶯へ窓開く

山百合の香や奥宮へ道半ば

合歓の花谷戸の薄闇点り初む

バス降りて帰郷の一歩青田風     屋内修一 

前主宰詠

時の記念日むかしは駅に伝言板

螺旋階段のぼる灯台南風吹く

夕端居竹のそよぎに目を遣りて    佐々木建成

風悠

段畑や体を折りて大根撒く

癖のある夫の髪切る梅雨入かな    山口美智

この話受けぬつもりの扇かな

扇風機時々古き音を出す       野間しげる

副主宰詠

朝焼や居眠るやうに舫ひ舟

時の日や老いて光陰加速せり      籠田幸鳴

 

​寛解の友の訃報や梅雨寒し

父の齢となりて父知る父の日よ     前田勝洋